一度はしてみたかった、「大阪-東京自転車ロングライド」 2013年3月6~7日の2日かけて、実行してきました。
まずは計画。
ルートラボで「大阪東京」で検索した中で、「薄軽筆入れ」さんのデータが参考になると思い、GPSナビの「パイオニア ポタナビ(サイクルラボ)」に、初日と二日目の2つに分けてコースをインプット。自宅から出発のため、大阪-京都間のルートが違いますが、それ以外は全て「薄軽筆入れ」さんのルートどおりです。(ただし逆ルートですが)
計画では初日は350km走って、静岡県焼津の港町にある民宿で海鮮料理に舌鼓を打ち、二日目は200km走って東京飯田橋のユースホステルに泊まるというものです。
これまで私が走った1日の最長距離は、学生時代のサイクリング部の耐久ランとして、230kmを2回。1回目はランドナー、2回目はロードバイクでしたが、いずれも翌日から脚の筋肉と筋がすべて切れてしまったような激痛がおよそ1週間は続いたと記憶しています。それ以降200km以上の距離を走ったことはありません。当時は自転車のポジションやペダリングなど理論的に考えたことなど無く、今から思えば全くの素人状態でした。
それから約20年。自転車屋としての知識・経験が、加齢による体力低下をどれほどカバーできているのか、臨床実験してみたいというのが、この挑戦への理由でもあります。
装備をご紹介
- ライダー・・・ヒト科 オス 40歳と3か月 身長/166cm 体重/59kg A型
- バイク・・・テスタッチ/クロモリフレーム シマノ/アルテグラ タイヤ/パナレーサーレースD 50/34tx12/23t
- ウェアー・・・パールイズミ/ノースリーブのインナー footmax/アームカバー 4DM/半そでジャージ Biemme/ウィンター長袖ジャージ Marmot/ウィンドブレーカー Biemme/ウィンターグローブ 4DM/ビブニッカ ZAMST/カフサポーター footmax/ロードバイク用ソックス シマノ/SPDシューズ+カスタムバランス/インソール BELL/ヘルメット 720armor/サングラス
- その他・・・パイオニア/ポタナビ(GPS) オーストリッチ/輪行袋(L100) ノースフェイス/16Lのバックパック(トレイルラン用) ポチット/トップチューブバッグ ポチット/引出付サドルバッグ iPhone キャットアイ/HL-EL540(前ライト)+TL-LD155R(後ライト) 気づきベル パンク修理キット(タイヤレバー+パッチ+携帯ポンプ) 携帯工具 予備チューブ(2本) CO2ボンベ(2本)キャノン/デジカメ(S90)
大阪東京ロングライド1日目(初日)
前日は10時に就寝。翌朝4時に起床し、真っ暗な中5時にスタート。細くなった月が綺麗です。当日の予想最高気温は16度ということでしたが、出発してすぐの街頭の温度計は「マイナス1度」 超寒いのですが、この後温度が上昇するのは確実なので、ひたすら我慢。経験上このくらいの気温なら40分くらいまでなら大丈夫。ただしその後は手足の痺れに耐えるしかありません。
スタートして約30分、ボトルを忘れたことに気が付きました。朝CCDを溶かして台所のカウンターに置いたところまでは覚えていたのですが、そこから先を忘れたようです。仕方がないので、コンビニで500mlのポカリを購入。ボトルケージにはぶかぶかですが、落ちることはありませんでした。巡航速度はおよそ30km前後です。
大津を通過するあたりで、午前8時を過ぎました。通勤途中のサラリーマンや、通学途中の学生がたくさんです。ここから鈴鹿の手前までは初めて走るルート。ですがほぼ国道1号線を走るルートなので、まっすぐ突き進めば迷うことはありません。ポタナビはまだオフ。大型ダンプが勢いよくすぐそばを通り抜けます。
甲賀を越えるといよいよ初日の山場、「鈴鹿峠(357m)」 ここは学生時代に逆コースですが2回走行したことがあります。丁度峠部分は登りと下りで別ルートとなっており、さらにピークはトンネルです。逆コース(東から西)はとても厳しいイメージだったのですが、そろそろ本格的な登りかと思ったとたんに、トンネル通過。あれっと思っていると、あとは全て下り。なんだ、鈴鹿峠って、東からと西からでは全然イメージが違うんですね。
鈴鹿峠
鈴鹿峠を下り亀山まで走ると、シマノ鈴鹿ロードで何度も来たことがある道となります。少し気が楽になります。
最初に購入した500mlポカリが無くなったので、新たなポカリを購入。ここでは太い1Lサイズがありました。ちょうどボトルケージのサイズです。ここにポカリが収まると、学生時代にランドナーで走っていた頃を思い出して、とても懐かしくなります。あの時は更に大きな1.5Lでしたが。
スタートから140km地点。四日市で昼飯の為ココイチでカレー休憩。ここで初めて25分のロング休憩を取ります。暖かくなってきたので、ウィンドブレーカーも脱ぎます。シューズも脱いで、脱力。フェイスブックに書き込むと、即座に沢山のいいね!やコメントが入り、元気が湧いてきます。嫁にもメールで生存報告です。
岡崎城、豊橋を超え、いよいよ静岡県に入りました。この時点で焼津に着くのは晩の9時を超えそうです。民宿を予約しているので、電話して遅くなることを伝えました。
豊橋を過ぎたころから、国道1号線の自転車通行不可のバイパスが多く出現するため、ポタナビは常時オンに。初めての道でもあらかじめ曲がる個所がわかるのは、とても頼もしい。
ですが浜名湖の浜名湖バイパスで失敗してしまいました。自転車通行不可の看板を見落とし、バイパスに乗ってしまったのです。100mほど走ってから車のドライバーが窓を開けて、
「ここ自転車入れないよ」
と注意してくれたのですが、すでに遅し。ここからバックするのも怖いので、えいっと突っ切ることにしました。
それにしても怖かった。高速道路を自転車で走るようなものです。路肩は広いのですが、小石が散乱しており、パンクのリスクも高まります。なんとか途中の出口でエスケープすることができて一安心。
あたりはそろそろ薄暗くなってきました。気温も低くなってきたので、再びウィンドブレーカーを着こみ、前後のライトを点灯します。
しばらく走ると、天竜川のバイパスの分岐点で再びやってしまいました。GPSのルート表示だと、分岐点での道路の角度が鋭角なため、気が付きにくいのです。標識の通り、「1号線」とあるほうに自然と向かってしまいました。
浜名バイパスと同じく、見た目はほぼ高速道路。分岐点も多く、時速40km近くで必死に逃げます。しかも今度は夜。幸いそれほど交通量が多くなかったので、後ろの信号が赤になったタイミングであれば、分岐点は何とか切り抜けられました。ここも生きた心地がしませんでした。
スタートしてから230km、自己最高距離を上回っています。脚は快調ですが、背中(肩甲骨)が痛い。信号待ちのたびに肩をぐるぐる回してストレッチ。さらにお尻も痛み出しました。
磐田市を過ぎるころ、焼津の宿には9時にもたどり着かないことがいよいよはっきりしたため、宿にキャンセルの電話を入れます。ごめんなさい。すでに気力が萎えてきていますが、初日に300キロ以上は走っておかないと、2日目が大変です。なんとか7時過ぎまでは走ると心に決めて、袋井を通過。次の街の掛川で投宿することに決めました。1号線を外れ、掛川駅前で最初に目についたビジネスホテルを見ると、「シングル5000円 大理石風呂付」 いいですね。決定。自転車を部屋まで入れることに快諾してくれました。ナイス。駅前の小さな飲み屋で夕食を済ませ、崩れるように11時に就寝。
大阪東京ロングライド二日目(最終日)
5時に起床し、6時に出発。大阪より東にある為か、この時点で昨日より明るいですね。駅前にある100名城「掛川城」を写真に収め、いざ出発。残り約250km。
まずは計画なら昨日超えているはずだった夜泣石&金谷峠。昨日暗いうちに弱った脚で行かないでよかった。かろうじて回復した脚でも、時速10~15kmくらいのスピードで通過。
越すに越されぬ大井川を通過。このあたり少し市街地で信号が多く、ペースもあがりません。
駿府城跡を横目で見ながら、静岡駅通過。静岡県長いな~と思っていたとの時、突如目の前に「富士山」出現。思わず立ち止まり写真撮影。
さらに進むと、富士由比バイパスにかかる新富士川橋。
富士由比バイパスの新富士川橋の車道は自転車通行不可。したがって、直前で国道1号線を降りて、この階段を登り、歩道走行となります。googleさんより
なんということでしょ。富士山よ、完璧なお姿で自分を迎えてくれているではありませんか。
これまで車や新幹線の窓からは何度も見たことがあり、その都度、「おおぉ~」 と思っていましたが、自走で見る富士山はその比ではありません。ガラにもなく、感動。来てよかった。走ってよかった。この先もきっと安全にゴールできるに違いない。訳もなくそんなことを思う自分がいました。
富士山に別れを告げると、二日目の走行距離も100kmを超え、いよいよ最難関の「箱根峠」の入口に差し掛かりました。時刻は11時。ちょっと早いですが、お昼ごはんに丸源ラーメンをいただきました。ここでこの二日間で最長となる、35分間の休憩を取りました。
天気は最高。箱根に続く道は思っていたよりも幅の広い道。およそ16kmの峠道。時速10km前後でダンシングを交えながら上ります。歩道が広いのですが、小石が多く、また途中石畳になっていて、すこし走りにくい。車道の路肩は狭く、車は少なくてもスピードが出ているため、すこし怖さもあります。
途中ローディが一人と、ママチャリの高校生くらいの二人連れをパスし、約1時間半かけて、登頂。標高846mの箱根峠です。ここからすこし下ると、芦ノ湖が見える道の駅。ここで少し15分ほど長めの休憩。下の気温は16度でしたが、ここは10度。下りに備えて、ウィンドブレーカーを着こみます。
ダウンヒルを楽しむと、箱根のメインストリートに到着。箱根駅伝のゴールでもあり、箱根ホテルがあり、芦ノ湖の遊覧船があり、箱根の関所でもあります。ささっと写真を撮り終え、国道1号線ではなく、距離の短い旧街道で下ります。
旧街道の下りはこんな九十九折。ブレーキが壊れやしないかと、ちょっと心配になりながら、無事下り終えました。
下ると小田原。小田原といえば小田原城。秀吉の一夜城跡を横目に、残り約100km。もうこれで安心と思いきや、左膝に違和感が。
でもペダリング中は痛くありません。信号待ちで左足のクリートを外すとき、スタートではめる時にズキンと膝の外側が痛みます。どうやらこれって、クリートの付け外しの動きが原因か? と思い、脚をつくのを右足に変更。信号待ちでも柵があれば、足を外さずつかまって停止したところ、多少ましに。なるほど、これだけ信号待ちで脚を付け外しする動作をすると、膝に来るのか。
ヒトにもよると思いますが、ロングライドの時は脚を交互に外したほうがよさそうです。
それともう一つ、昨晩から蓄積されたお尻の痛み。これはたまらん。痔が再発したのか、お尻の皮がむけたのか、どっちかわかりませんが、とにかく痛い。信号待ちのリスタートでも、お尻の位置を定めるのに、お尻フリフリしなけばならず、車からみたら気持ち悪いだろうなと。ある程度速度が乗ってしまえばいいのですが、細かく信号があると、きつかったです。
茅ヶ崎、鎌倉とすぎ、いよいよ横浜。このあたりちょっとした丘が多く、ダンシングでしのぎます。お尻と左ひざは痛くても、ダンシングのフォームは崩れていないと自己分析。まだまだ脚は十分。
横浜市戸塚駅の踏切は「開かずの踏切」として有名ですが、現在地下道を建築中。2015年1月に完成予定とのことですが、それまでは歩道橋を登り、南側の戸塚駅前をぐるりと回ってくる必要があります。
詳しくはこちら
横浜を過ぎると暗くなってきました。前後のライトを点けてのこり約25km。順調にいけば1時間ちょっとで日本橋です。ここらあたり車線が広く、とにかく信号が多い。スピードに乗ったと思ったら、停止。堪えます。巡航スピードは30kmは出ているのですが、信号待ちが多く、距離が延びません。
品川通過、銀座通過、そしてついに、日本橋に到着。二日間で560km。いよっし!
これまですべてセルフ写真でしたが、ここは通行中のご婦人にお願いして、記念撮影。これでやっと終わりです。
飯田橋のユースホステルまで5kmほど走って、完全ゴール。19階にある眺めの良いYHのお風呂につかり、神楽坂で一人打ち上 げ。
三日目
10時のチェックアウトまでのんびりすごし、お昼前に新幹線で輪行。
3時過ぎには帰宅完了。脚は目いっぱい痛く、階段を降りるときすこし痛みますが、まぁ、通常の疲労の範囲。どこか痛めたというほどもないレベル。学生時代の230kmに比べると、全然ましです。
自分でいろいろ勉強してきた自転車のポジション、ペダリングフォームはまずまず間違ってはいなかったと、自己評価。うんうん。
最後に二日間の走行データです。スピードメーターがオートスタート/ストップになっていなかったようで、休憩時間や信号待ちを除いた実走行時間はわかりません。巡航速度としては、30km前後だと思います。ちょっと向かい風で遅いなと思う時で、25kmくらい、スピード出ているなと思う時で、32~34kmくらいでした。
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1日目 |
2日目 |
合計 |
走行距離 |
325km |
235km |
560km |
時間 |
14時間0分 |
12時間25分 |
26時間25分 |
平均速度 |
23.2km/h |
18.9km/h |
21.2km/h |
フルマラソンを完走したことのある人は日本に何十万人といると思いますが、大阪東京間を自転車で ”ただひたすら” 走ったことのある人なんて、日本に1万人もいないのではないでしょうか?
そう思う事で自己満足に浸れる変態ならば、生きているうちに挑戦してみることをおすすめします。
大阪東京を自転車で! と思う方にとって、少しでも参考になれば幸いです。