先日とある自転車屋さんで、こんなものを見つけました。
注目すべきは、価格ではありません。
英式バルブで空気圧を計測できるという、この代物そのものです。
左上に「ミリオン」とあることから、大阪西成区のゴム製品やタイヤや電線などを製造している「共和」のものであることがわかります。一般的には、「オーバンド」の輪ゴムや、セロテープが有名でしょう。
左下を見ると値札で隠れてしまっていますが、
「特許申請中」と書かれています。
そもそも英式バルブというのは、構造上空気圧を測れないことで有名なのですが、それゆえ、シビアな空気圧管理が必要とされるスポーツサイクルにおいては、まったく普及していません。
自転車用タイヤ・チューブを製造するパナソニック・ポリテクノロジー(ブランド名は「パナレーサー」)では、英式バルブを米式バルブに変換するアダプター(右の画像)を昨年販売し、大ヒットとなっております。
ちなみに、英式バルブのデメリットは、空気圧を計測できないばかりでなく、パッキンとしての役割の虫ゴムの耐久性が低いこと、空気を充てんする際にその虫ゴム(パッキン)の抵抗(内圧)が強いため、空気入れを使用してのポンピングの力がより必要になるというデメリットも見逃せません。
- このホームページで詳しく解説してくれています。
ミリオンのエアーゲージセットを見てみましょう。まずはバルブステムの中に入れる、フランジャーです。左が通常の虫ゴムタイプ。右がミリオンです。上半分の構造は同じですが、ミリオンは一見すると、 「スーパーバルブ」のようにも見えますね。
ですが、よく見ると驚くべき工夫が施されています。
フランジャーを上から見てみましょう。小さくてわかりにくいのですが、米式バルブのように中心に細い「でっぱり」があります。
このでっぱりを押すと、
フランジャーの下側が、まるで仏式バルブの先端のように飛び出してきます。つまり先端を細いもので押すことによって、微量の空気が漏れ出します。
押している間空気が漏れ続けないように、ばねで瞬時に戻る仕掛けになっているのも見逃せません。
この時漏れた空気を利用して、空気圧を測るという仕組みです。
実際に取り付けてみました。なかなか巨大です。先端に「ばね」と「目盛」がありますね。
先端をグイッと押し込むと、一瞬「シュッ」という音とともに空気が漏れて、赤い印がメモリのところで止まります。
都市部の駐輪場に多い、「バルブを盗むいたずら」に対しては弱そうですが、そこまでは面倒見きれません。
実際に使ってみた感想としては、実に簡単。構造としては、非常にシンプル。感動しました。
こんなに良いものですが、普及しなかったのはご承知の通り。良いものであっても、プロモーションの仕方や、タイミングによって商業的に成功するとは限らないのですよねぇ。